国内外の方々に人気の観光列車。
こだわりの外観・内装で日本の伝統や趣を感じられるだけでなく、地域のグルメや特産品の購入、そして地元の方と交流できる列車もあります。
この記事では、関西の観光列車のなかでも大阪と京都を経由する観光列車をピックアップ!
なかには、2024年10月から新しく運行開始した列車や、普通運賃だけで乗車できる列車もあります。
チケットの予約や購入方法も記載しているので、訪れたい観光地やルート、日程に合わせて選んでみてください!
あをによし・京とれいん雅楽・はなあかり3つを比較!
まずは、紹介する3つの観光列車のルートや概要を紹介します。気になる列車があったら、それぞれの詳細を説明している段落をチェックしてみてください。
【あをによし・京とれいん雅楽・はなあかり比較表】
あをによし | 京とれいん雅楽 | はなあかり | |
ルート | 大阪難波~京都 | 大阪梅田~京都河原町 | 大阪~尾道 |
価格 | 普通運賃+特急料金+特別車両料金 | 普通運賃のみ | 普通運賃+特急料金+グリーン料金 |
予約と座席 | 完全予約制座席指定可能 | 予約不要自由席 | 完全予約制座席指定可能 |
運行日 | 木曜を除く毎日 | 土日祝 | 土日 |
運行本数 | 1日8本 | 1日4本 | 1日1本 |
車内サービス | 車内販売あり アテンダント常駐 無料Wi-Fiあり | 車内販売無し アテンダント不在 無料Wi-Fiあり | 車内販売あり アテンダント常駐 無料Wi-Fiあり |
【近鉄観光特急 あをによし】乗った瞬間くつろぎの歴史旅!

まずは、大阪・奈良・京都を結ぶ観光特急「あをによし」の魅力やチケットの購入方法について紹介します!
あをによしの魅力
あをによしの車両は、奈良の美しさや尊さを表しています。
外装には、奈良に都があった頃に高貴な色とされていた紫色を使用し、正倉院の宝物をイメージした文様をあしらっています。

エンブレムには、縁起が良いとされる「吉祥文様 花喰鳥」の姿も。花喰鳥とは、瑞鳥が花枝を咥えている姿を指します。
瑞鳥はめでたいことが起こる前兆とされ、花喰鳥は正倉院の御物や工芸品にもあしらわれています。正倉院を訪れる機会があったら、ぜひこのエンブレムと比較してみてください。
「あをによし」の名前の由来は?
「あをによし」とは、漢字で「青丹吉」と表します。「青丹=青色の土、吉=良し」であり、奈良では良質な青色の土を産出していたことから、そのように呼ばれました。
実際に、万葉集や古事記、日本書紀では、奈良について語るときの決まり文句として「あをによし」という言葉がたびたび使われています。そう考えると、この列車には奈良への愛や尊敬の想いが込められていることがわかりますね。
例)万葉集(巻3-328)「あをによし 奈良の都は 咲く花の にほうがごとく 今盛りなり」訳:青丹も美しい奈良の都は、咲いている花が輝くように繁栄している。
Point①随所に散りばめられた高級感

あをによしは、全部で4両編成。
1・3・4号車のツインシートは、ゆったりとしたシートを2列配置しています。座席は家具メーカーによる特注デザインで、体を包み込んでくれるリラックスシートが魅力です。
また、友人や家族で周囲を気にせず楽しみたい方は、2号車のサロンシートがおすすめです。
サロンシートは3~4名が利用できるグループ専用席。
座席と通路はパーテーションで仕切られていて半個室になるので、プライベートな時間を楽しめます。
正倉院の宝物「瑠璃坏」がモチーフになっているガラス製の青い照明にも注目!
Point②限定スイーツやクラフトビールも楽しめる


2号車には、限定のオリジナルスイーツや軽食、奈良のクラフトビールなどが楽しめる販売カウンターがあります。
レーズンやいちごを使った車内限定バターサンドや、百楽豚まん、柿の葉寿司のほか、大和肉鶏の燻製といったお酒に合うメニューも充実。
奈良のクラフトビール店「大和醸造」のビールや不思議なドリンク「まほろばサイダー」のようなユニークなソフトドリンクもあるので、大人から子供まで楽しめますよ。

さらに、「限定」という言葉に弱い方は必見!
車内限定の和ハンカチやメタルキーホルダーを購入できるほか、無料でもらえる記念乗車証もあるので、ぜひ手に入れておきましょう。
運行情報・停車駅

あをによしは、原則木曜日を除いて毎日・1日8便運行しています。
時刻(平日/土日) | 大阪経由 | |
大阪難波発 京都着 | 9:10/9:10 10:34/10:29 | 〇 |
京都発 近鉄奈良着 | 10:55/10:55 11:29/11:31 | × |
近鉄奈良発 京都着 | 11:55 12:30 | × |
京都発 近鉄奈良着 | 12:55 13:29 | × |
近鉄奈良発 京都着 | 13:55 14:30 | × |
京都発 近鉄奈良着 | 14:55 15:29 | × |
近鉄奈良発 京都着 | 15:55/15:55 16:31/16:30 | × |
京都発 大阪難波着 | 16:55/16:55 18:16/18:12 | 〇 |
大阪難波を発着するのは第一便と第八便のみなので、大阪観光を予定している方は発着時間に注意しましょう。
チケット価格

※子供料金は大人の半額。※2025年4月時点。
引用:https://www.kintetsu.co.jp/senden/aoniyoshi/
上記の表は、ツインシートを2名、サロンシートを3名または4名で利用する場合の大人1名あたりの料金です。
もし1名でツインシートを利用したい場合は、1名分の乗車券・特急券・特別乗車券のほかに、こども1名分の特急券・特別車両券を追加で購入する必要があります。
また、サロンシートは3~4名での利用に限るため、いずれも家族や夫婦など複数名での利用がおすすめです。
チケット購入方法
あをによしのチケットは、完全予約制です。
インターネット予約・発売サービスか近鉄駅窓口で、乗車の1か月前の午前10:30(日本時間)から購入できます。
インターネット予約は会員登録をしなくても可能なので、気軽に利用できますよ。
また、駅で受取不要のチケットレスタイプもあるので、当日に支払いや受取でバタバタしたくない方にもおすすめ。
購入するときは、2名利用のツインシートか3~4名利用のサロンシートのどちらかを選び、乗車券+特急券+特別乗車券が必要になります。
ちなみに大阪難波〜京都は人気のため、チケットはすぐ完売してしまいがち。近鉄奈良〜京都なら、乗車時間は短くなるもののチケットは取りやすいですよ。
「近鉄週末フリーパス」と併用してもっとお得に!
近鉄線の他の駅も利用するなら、土日を含む連続3日間利用できるフリーパスの利用がおすすめ!
追加で特急料金と特別車両料金を支払う必要はありますが、普通運賃はこのフリーパスでまかなえるのでお得になります。金土日か土日月で近鉄線を使う旅行を計画しているならぜひ。
あをによし詳細 運転区間:大阪難波~京都 運転期間:木曜日以外毎日 詳細:https://www.kintetsu.co.jp/senden/aoniyoshi/ 予約サイト:https://www.ticket.kintetsu.co.jp/M/MZZ/MZZ20.do?op=pDisplayServiceMenu |
【阪急電鉄 京とれいん雅洛】追加料金・予約不要で京都の四季を体感!

次に、追加料金&事前予約不要で乗車できる観光列車「京とれいん雅洛」を紹介します!
京とれいん雅洛の魅力
大阪梅田~京都河原町を結ぶ、阪急京都線の観光列車です。
「雅な都」、つまり京都へ向かう列車という意味を込めて名づけられ、全6両それぞれに季節をモチーフにした京デザインがあしらわれています。
「洛」という漢字にも「都」という意味があり、京都市内をエリア分けする際には「洛中・洛西・洛東・洛南・洛北」などと洛という漢字が使われているんですよ。
京トレイン雅洛には、乗車したときから京都に行ったような気分を楽しめるようにという想いが込められているんだとか。
Point:列車に日本庭園?!6つの季節がデザインされた列車


1号車から6号車まで、季節と植物をテーマにしたデザインが施されています。
(1号車)秋・楓:紅葉を代表する図柄「流水に楓」
(2号車)冬・竹:枯山水の坪庭と雪見障子
(3号車)春・桜:桜散らしの柄
(4号車)夏・葵:貴族に愛されたカキツバタ
(5号車)初秋・芒(すすき):去り行く夏から初秋へ移り行くさま
(6号車)早春・梅:新春を迎えた京都の煌びやかさ
2号車には枯山水の坪庭、5号車には京町家の坪庭があしらわれ、着物をきた女将さんや舞妓さんが行き来しても不思議でないくらい、京都の街並みが表現されています。
1号車から6号車までそれぞれ季節が異なるので、座席の様子や車内の装飾までじっくり楽しめるのも他の列車には無い魅力。
運行情報・停車駅

京トレイン雅洛は、土日祝日に上下線それぞれ4本ずつ運行しています。
【下り 大阪梅田発 京都河原町ゆき】
停車駅 | 大阪梅田発 | 十三 発 | 淡路 発 | 桂 着 | 烏丸 着 | 京都河原町 着 |
第一便 | 9:32 | 9:36 | 9:41 | 10:07 | 10:13 | 10:15 |
第二便 | 11:32 | 11:36 | 11:41 | 12:07 | 12:13 | 12:15 |
第三便 | 13:32 | 13:36 | 13:41 | 14:07 | 14:13 | 14:15 |
第四便 | 15:32 | 15:36 | 15:41 | 16:07 | 16:13 | 16:15 |
【上り 京都河原町発 大阪梅田ゆき】
停車駅 | 京都河原町発 | 烏丸 着 | 桂 着 | 淡路 発 | 十三 発 | 大阪梅田発 |
第一便 | 10:41 | 10:43 | 10:49 | 11:15 | 11:22 | 11:28 |
第二便 | 12:41 | 12:43 | 12:49 | 13:15 | 13:22 | 13:28 |
第三便 | 14:41 | 14:43 | 14:49 | 15:15 | 15:22 | 15:28 |
第四便 | 16:41 | 16:43 | 16:49 | 17:15 | 17:22 | 17:28 |
大阪梅田~京都河原町まで45分ほど。
全6車両をゆっくり見てまわるには時間が足りないほどですよね。
普通運賃のみで利用できるため、地元の方も日常的に使う列車です。ぜひ、周囲の方の迷惑にならないように騒音や荷物の持ち運び、移動には気を付けましょう。
また、途中の淡路駅は、兵庫県の淡路島とは違うので要注意!
チケット価格&購入方法
京トレイン雅洛は、予約不要で普通運賃のみで乗車でき、途中下車・乗車も自由です。
そのため、料金は最大でも大阪梅田~京都河原町の410円。子供は210円です。
阪急沿線で他のエリアにも立ち寄るなら阪急1dayパスもあるので、訪れたい観光地に合わせて活用してみてくださいね。
京とれいん雅洛の詳細 運転区間:大阪梅田~京都河原町 運転期間:土日祝日 詳細:https://www.hankyu.co.jp/kyotrain-garaku/ |
【JR西日本 はなあかり】食・伝統・おもてなしを列車に詰め込んだ観光列車!

最後に、2024年10月から運行開始した観光列車「はなあかり」について解説します。
2024年~2025年の冬季は、特急列車「かにカニはまかぜ」との増結し、福井や天橋立、丹後エリアの食材を活かしたはなあかり限定のお弁当も登場しました。
2025年4月~6月は、運行区間が変わり大阪府から三宮・神戸・姫路と兵庫県を通って岡山県の岡山・倉敷を巡り、そして広島県の福山・尾道に向かいます。
はなあかりの魅力
西日本各地には、素敵な観光地や食、風景、そして人々にあふれています。「はなあかり」は、そんな西日本の魅力に「あかりを灯し」、訪れる人々と地域の縁を結びたいという想いがあります。
列車の外観は、紋付染という着物の伝統的な染色技術で最高級とされる檳榔子染の色に。これは西日本の自然豊かな景観にも馴染むように工夫されています。
そして車内にも、日本の季節を彩る草花をモチーフとした、華やかな和空間を施しています。
Point1:工芸品やアート作品に包まれる快適空間

はなあかりは、全部で3両編成。
1号車のスーペリアグリーン車では、ゆったりとした本皮シートに大きなテーブルでリラックスできるのはもちろん、ところどころに施された工芸品も美しく見ものです。
例えば、国産ジーンズ発祥の地である岡山県児島地区のジーンズアートや、岡山県倉敷市の倉敷手毬、そして広島県福山市のシンボルであるバラを用いたフラワーアートなどが飾られています。
2・3号車のグリーン車は、ゆったりと歓談を楽しめる広い間が広がっています。
360度回転する座席や、2名・3〜4名で利用できる広いボックス席があるので、友人同士や家族で過ごしたい方におすすめ。
全車には、カーテンをまとめるタッセルや座布団にも京都の伝統が反映されているので、由緒ある雰囲気が楽しめますよ。
Point2:期間限定の食と装飾、そしておもてなしが楽しめる

はなあかりは、季節ごとに運行エリアを変える列車のため、大阪~尾道をつなぐのも2025年春(4~6月)のみ。
各停車駅や車内では、地元特産品の販売やお出迎えなどのおもてなしを受けられるので、地元の方々と交流やおもてなしの心に触れたい方にもおすすめです。
さらに、地元の食材を活かしたはなあかり限定のお弁当もあり。
下り列車(大阪⇒尾道)では「兵庫はなあかり弁当セット(お茶・はなあかりグッズ付)」、上り列車では「福つまみ はなあかり弁当(お茶付)」、そして下り・上りの両方で利用できるのは「岡山プレミアムスイーツ3種セット」があります。
以下の「tabiwa by WESTER」にて事前予約してください。では「丹後晩秋弁当&スイーツセット(お茶付)」と福井や天橋立、丹後エリアのグルメを楽しめます。
名称 | 兵庫はなあかり弁当セット | 福つまみ はなあかり弁当 | 岡山プレミアムスイーツ3 種セット |
内容 | ![]() | ![]() | ![]() |
対象列車 | 尾道行き(大阪⇒尾道) | 大阪行き(尾道⇒大阪) | 尾道行き(大阪⇒尾道)大阪行き(尾道⇒大阪) |
お渡し駅 | 姫路駅 | 福山駅 | 岡山駅 |
申込 | 予約 | 予約 | 予約(大阪⇒尾道) 予約(尾道⇒大阪) |
※注意:お弁当予約は、乗車券同様に利用日の1か月前10時から4日前まで可能です。
また、はなあかりの「お渡し駅」を含む区間を乗車の方のみ購入できます。お弁当とスイーツは単品販売のため、の両方を購入したい場合は、2商品それぞれをご購入ください。
運行情報・停車駅

2025年4~6月のはなあかりは、大阪~尾道を土日2日間かけて往復します。
土曜日は、大阪発~尾道行き。日曜日は、尾道~大阪行きとなります。
倉敷駅や尾道駅、福山駅、岡山駅ではお土産品の販売やまち歩きツアーなどが展開されることも。
地元の方と交流してみたい方は、ぜひ参加してみてください。
チケット価格
【大阪~尾道(始発~終点まで)】を利用した場合のチケット代は、以下のとおり。
【はなあかり料金目安】
1号車スーペリアグリーン席は1名13,320円※
2・3号車グリーン車ボックス席・グリーン車指定席1名11,120円
※2名でご利用の場合。1名でご利用の場合は19,710円
あをによしと同様、1名で利用する場合は料金が割高になります。
また、2・3号車のグリーン車ボックス席は3名から利用できるため、1~2名では利用できせん。
どちらも、友人同士やご家族など複数名での旅行におすすめですね。
チケットの購入方法
チケットは、インターネット予約「e5489」かJR西日本のみどりの窓口で購入できます。
座席は完全予約制で、購入できるのは乗車日の1か月前のAM10時から4日前まで。3日前からは、購入や変更、払い戻しはできないので要注意!
また、グリーン車指定席はインターネット予約「e5489」で購入できますが、グリーン車ボックス席(2名用・4名用)・スーペリアグリーン車の予約購入はできません。
はなあかり詳細 運転区間:大阪~尾道 運転期間:4月~6月の土日 HP:https://www.jr-odekake.net/railroad/hanaakari/ 予約サイト:https://www.jr-odekake.net/railroad/kankoutrain/hanaakari-osaka-onomichi/reservation/ |
まとめ
今回は、関西エリアの主要な観光列車を3つ紹介しました。
どれも関西の主要都市・大阪と京都を経由するため利用しやすく、地域の食や伝統、おもてなしを楽しめる魅力がいっぱい。
観光列車が好きな方はもちろん、日本の伝統や歴史、食、絶景に興味がある方は、ぜひ利用してみてくださいね!
また、京都北部エリアを走る観光列車には、京都丹後鉄道の「あおまつ号・あかまつ号・くろまつ号」があります。
以下の記事で詳しく紹介しているので、気になる方はチェックしてみてください。

